特集

「債務整理事件における報酬に関する指針」の制定について(通知)

司法書士による債務整理事件の処理及び報酬については、一部の司法書士に不適切な事件処理や報酬請求を行う例が見られ、マスコミにより報道される等、社会的に問題視されております。

連合会では、平成21年12月16日に開催した第6回理事会にて「債務整理事件の処理に関する指針」を制定し、業務の適正な処理について周知してきたところですが、独占禁止法上における公正取引委員会の考え方を踏まえ、この度、平成23年5月25日・26日に開催した第24回理事会において別添のとおり標記指針を制定しましたので、貴会会員への周知をお願いいたします。

この指針は、債務整理事件に限定し5年間を限度に適用するものであり、この上限より低廉な報酬を得ることを妨げるものではありません。また、当指針を目安に報酬額を協定などすることは独占禁止法違反となりますので、十分にご注意ください。詳細については、補足説明をご確認ください。

なお、貴会にて当指針を規則として定める場合は、その内容について事前に連合会あてご連絡ください。

債務整理事件における報酬に関する指針

平成23年5月27日理事会決定

目的

第1条

この指針は、債務整理事件を処理する司法書士(司法書士法人を含む。以下同じ。)の一部が不適正かつ不当な額の司法書士報酬を請求し、又は受領しているとの批判があることから、臨時の措置として、主として過払金返還請求事件における司法書士報酬の額を適正化することによって、依頼者の利益の保護を図るとともに、司法書士に対する国民の信頼を確保することを目的とする。

定義

第2条

この指針において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

依頼者 債務整理事件を司法書士に依頼し、又は依頼しようとする者をいう。

債権者 債務者に対して債権を有するとみられる者をいう。

債務者 金融業者に対して債務を負担する個人又は法人をいう。

過払金返還請求事件 債権者との取引について、利息制限法所定の利率による利息計算(以下、「引き直し計算」という。)をした結果、弁済すべき金額を超えて支払った金額(以下、「過払金」という。)が生じることとなった債務者が、当該債権者に対してその返還請求を行う事件をいう。

任意整理事件 債権者が債務者に有するとみられる債権について、弁済の額、方法等について裁判外で債権者と交渉して処理する事件をいい、引き直し計算の結果、債務者が、債権者に対して債務を負担しないこととなる場合及び過払金が生じた場合を含む。

定額報酬 受任した事件の結果のいかんにかかわらず、債権者に対する通知及び取引履歴の開示請求、引き直し計算、債務額確定のための交渉、返済に関する交渉、裁判外での和解並びにこれらに付随する事務の対価として一定額を定める報酬をいう。

減額報酬 債権者が主張する債務を減額させ、又は免れさせた場合に、その減額され、又は免れた債務の金額を経済的利益として、その経済的利益に応じて算定される報酬をいう。

過払金返還報酬 過払金を回収した場合に算定される報酬をいう。

適正かつ妥当な報酬

第3条

債務整理事件において司法書士が請求し、又は受領する報酬は、当該事件が解決したことにより依頼者が受ける経済的利益の他、依頼者の資産、収入及び生活の状況等を考慮した適正かつ妥当なものでなければならない。

報酬の請求等

第4条

1

司法書士は、任意整理事件及び過払金返還請求事件において、次条以下の規定に反して報酬を請求し、又は受領してはならない。

2

次条以下に定める報酬の額には、消費税額を含まない。

定額報酬の上限

第5条

任意整理事件を受任したときは、定額報酬として債権者一人当たり5万円を超える額を請求し、又は受領してはならない。

減額報酬の上限

第6条

1

減額報酬を請求し、又は受領するときは、減額され、又は免れた債務の金額を経済的利益として、その経済的利益に10パーセントの割合を乗じた金額を超える金額を減額報酬として請求し、又は受領してはならない。

2

引き直し計算により算出された金額を債権者が認めた場合(その金額を債権者が積極的に争わない場合を含む。)は、その算出された金額から減額され、又は免れた債務の金額を経済的利益として前項を適用する。

過払金返還報酬の上限

第7条

代理人として過払金を回収したときは、その回収した金額を経済的利益として、その経済的利益に次の割合を乗じた金額を超える額を過払金返還報酬として請求し、又は受領してはならない。

(1)訴訟によらずに回収した場合20パーセント
(2)訴訟により回収した場合25パーセント

支払い代行手数料の上限

第8条

債務整理事件において、その債務を債権者に分割して支払うことを代行するときは、代行する支払いごとに実費に相当する額を含めて千円を超える額を請求し、又は受領してはならない。

その他の報酬の規制

第9条

司法書士は、任意整理事件及び過払金返還請求事件において、第5条から前条に定める報酬以外の報酬を請求し、又は受領してはならない。

附則

1

この指針は、5年を超えない範囲内において理事会で定める日に、その効力を失う。

債務整理事件における報酬に関する指針補足説明

1.はじめに

司法書士の報酬は、本来、依頼者と司法書士の業務契約の一部として、両者が互いに了解のうえで決定すべきものである。しかし、司法書士(専門家)と依頼者(一般人)の間にはその専門的知見に格段の差があり、依頼者は司法書士の意向に従わざるをえない面もある。特に、債務整理事件の依頼者は、現在の状況から抜け出したい一心であり、事件の依頼の際には報酬について十分に理解しないまま契約に至ることもある。司法書士の中には、依頼者のそのような窮状につけ込むかのように高額な報酬で受任する者がおり、特に、過払金返還請求事件の報酬については、暴利行為的な事案もあるといわれている。このような行為に対しては社会的な批判も強く、司法書士界がどのように対処するかが注目されているところであり、司法書士界がこのような行為を放置するならば、司法書士に対する国民の信頼を失うことにもなりかねない。

一方、本来自由であるべき報酬に規制をかけることは慎重なうえにも慎重でなければならない。規制することが競争を阻害し報酬額の固定化や高止まりを招くことがあれば、結果として依頼者の利益を損なうことにもなりかねないからである。

本指針は、以上の認識のもと、独占禁止法上における公正取引委員会の考え方を踏まえて制定されたものである。債務整理事件、中でも過払金返還請求事件の司法書士報酬の適正化を図ることで依頼者の利益を保護し、もって司法書士に対する国民の信頼を確保することを目的としている。

司法書士には、本指針とともに「債務整理事件の処理に関する指針」(平成21年12月16日理事会決定。以下「債務整理指針」という。)を遵守した業務の遂行が求められている。

ところで、本指針に対する公正取引委員会の見解は、以下のとおりである。なお、公正取引委員会は、平成13年10月24日に「資格者団体の活動に関する独占禁止法上の考え方」を公表しているので参照されたい。

(1)

本指針は、5年間を限度としていることに加え、債務整理事件等における不相当な報酬金等の請求・受領等のトラブル防止という社会公共的な目的に基づくものであること、また債務整理事件等に限定されて実施されるものであることから、本指針に定める上限が報酬金等の共通の目安となるような基準とならない限り、独占禁止法上問題となるものではない。

(2)

本指針において任意整理事件等の報酬金等の上限を定めたことを機に,司法書士間又は各司法書士会において、任意整理事件等の報酬金等に関して情報交換を行うなどして、上限を下回る又は上限を一定以上下回る報酬金等を受領しないように申し合わせたり、上限を一定以上下回る者に対して引上げを求めるような場合には、上限が「共通の目安となるような基準」として機能し,独占禁止法上問題となる。

2.補足説明

司法書士は、「事件の受任に際して、依頼者に対し、その報酬及び費用の金額又は算定方法を明示し、かつ、十分に説明しなければならない。」(司法書士倫理第20条。なお、司法書士法施行規則第22条及び司法書士会会則基準第89条参照。)とされていることから、本指針を遵守するとともに、これらの義務を前提とした業務執行が求められていることに十分留意する必要がある。

目的

第1条

この指針は、債務整理事件を処理する司法書士(司法書士法人を含む。以下同じ。)の一部が不適正かつ不当な額の司法書士報酬を請求し、又は受領しているとの批判があることから、臨時の措置として、主として過払金返還請求事件における司法書士報酬の額を適正化することによって、依頼者の利益の保護を図るとともに、司法書士に対する国民の信頼を確保することを目的とする。

この指針は、依頼者の利益の保護と司法書士に対する国民の信頼確保を目的としているが、あくまでも臨時の措置であることを明らかにしている。なお、本指針は、上限より低い金額での報酬金等の設定を妨げるものではないことには十分留意する必要がある。

定義

第2条

この指針において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

依頼者債務整理事件を司法書士に依頼し、又は依頼しようとする者をいう。

債権者債務者に対して債権を有するとみられる者をいう。

債務者金融業者に対して債務を負担する個人又は法人をいう。

過払金返還請求事件債権者との取引について、利息制限法所定の利率による利息計算(以下、「引き直し計算」という。)をした結果、弁済すべき金額を超えて支払った金額(以下、「過払金」という。)が生じることとなった債務者が、当該債権者に対してその返還請求を行う事件をいう。

任意整理事件債権者が債務者に有するとみられる債権について、弁済の額、方法等について裁判外で債権者と交渉して処理する事件をいい、引き直し計算の結果、債務者が、債権者に対して債務を負担しないこととなる場合及び過払金が生じた場合を含む。

定額報酬受任した事件の結果のいかんにかかわらず、債権者に対する通知及び取引履歴の開示請求、引き直し計算、債務額確定のための交渉、返済に関する交渉、裁判外での和解並びにこれらに付随する事務の対価として一定額を定める報酬をいう。

減額報酬債権者が主張する債務を減額させ、又は免れさせた場合に、その減額され、又は免れた債務の金額を経済的利益として、その経済的利益に応じて算定される報酬をいう。

過払金返還報酬過払金を回収した場合に算定される報酬をいう。

本指針にいう債権者は、受任又は受託する際において「債権を有すると見られる者」をいうから、その時点において債権を有することが確実でなくとも該当する。
また、過払金返還報酬は、過払金を現実に回収した場合に請求又は受領することができる報酬であるので、注意を要する。

報酬の請求等

第4条

1

司法書士は、任意整理事件及び過払金返還請求事件において、次条以下の規定に反して報酬を請求し、又は受領してはならない。

2

次条以下に定める報酬の額には、消費税額を含まない。

本指針に於いて定められる報酬額が、消費税を含まないことを明らかにした。

定額報酬の上限

第5条

任意整理事件を受任したときは、定額報酬として債権者一人当たり5万円を 超える額を請求し、又は受領してはならない。

任意整理事件は、「弁済の額、方法等について裁判外で債権者と交渉して処理する事件」
(2条5号)をいうが、定額報酬として請求し、又は受領できる額は5万円を上限とした。
ただし、「引き直し計算の結果、債務者が、債権者に対して債務を負担しないこととなる場合及び過払金が生じた場合を含む。」ことから、過払金請求事件となった場合においても、成功報酬とは別に5万円以内の額の定額報酬を請求し、又は受領することができるものとした。

減額報酬の上限

第6条

1

減額報酬を請求し、又は受領するときは、減額され、又は免れた債務の金額を経済的利益として、その経済的利益に10パーセントの割合を乗じた金額を超える金額を減額報酬として請求し、又は受領してはならない。

2

引き直し計算により算出された金額を債権者が認めた場合(その金額を債権者が積極的に争わない場合を含む。)は、その算出された金額から減額され、又は免れた債務の金額を経済的利益として前項を適用する。

減額報酬の上限は、依頼者が受けた経済的利益に10%の割合を乗じた額であることを明らかにし、司法書士がそれ以上の報酬を請求し、又は受領することを認めない(1項)。
 ただし、引き直し計算により算出された金額を債権者が認めた場合や認めたと言えないまでも債権者がその金額を積極的に争わない場合には、減額報酬の計算の基礎となる額は引き直し計算後の額となるので、その場合には、引き直し計算前の債務残額と引き直し計算後の債務金額の差額を減額報酬の対象とすることはできない。引き直し計算の結果、過払金請求事件となった場合も同様である。

過払金返還報酬の上限

第7条

代理人として過払金を回収したときは、その回収した金額を経済的利益として、その経済的利益に次の割合を乗じた金額を超える額を過払金返還報酬として請求し、又は受領してはならない。

(1)訴訟によらずに回収した場合20パーセント
(2)訴訟により回収した場合25パーセント

過払金請求事件における成功報酬は、回収した過払金を経済的利益として計算することを明らかにしている。訴訟により回収した場合と訴訟によらない場合に差があるのは、回収の困難性等を考慮したものである。
なお、「代理人として」過払金を回収したときに限定をしているが、裁判書類作成関係業務により過払金が回収されたときにおいても、債務整理指針の趣旨を踏まえたうえで適性かつ妥当な報酬額を決定する必要がある。

支払い代行手数料の上限

第8条

債務整理事件において、その債務を債権者に分割して支払うことを代行するときは、代行する支払いごとに実費に相当する額を含めて千円を超える額を請求し、又は受領してはならない。

分割弁済の代行手数料の上限を定めた。

その他の報酬の規制

第9条

司法書士は、任意整理事件及び過払金返還請求事件において、第5条から前条に定める報酬以外の報酬を請求し、又は受領してはならない。

報酬の名目を変えて本指針に定める報酬以外の報酬を請求し、又は受領することを認めないこととしている。脱法的な行為を許さない趣旨である。

附則

この指針は、5年を超えない範囲内において理事会で定める日に、その効力を失う。

本指針は、本来、司法書士と依頼者との間で自由に決められるべき報酬に対し上限を定めるものであり、司法書士間の競争を制限するおそれもあることから、恒久的な措置とすることは望ましくない。そこで、5年以内の時限的措置としたが、本指針を廃止しても債務整理事件の依頼者を害するおそれがなくなったときには、5年以内であっても理事会の決議により廃止することができることとした。

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